Pythonのinput()徹底解説！ユーザー入力の基本から応用まで完全ガイド

By 佐川 直弘 | Naohiro Sagawa (運営者)

※記事内に広告を含みます。Amazonアソシエイトとして適格販売により収入を得ています。

1. はじめに

Pythonは、シンプルな文法と強力な機能を兼ね備えたプログラミング言語であり、初心者から上級者まで幅広い開発者に利用されています。特に、ユーザーからの入力を受け取る機能は、対話型のプログラムを作成する際に欠かせません。

本記事では、Pythonでユーザー入力を受け取る方法を詳しく解説します。input()関数の基本的な使い方から、数値変換、複数の入力処理、エラーハンドリング、高度な入力処理までを網羅し、初心者から中級者までの読者が理解しやすいように構成しています。

この記事を読むことで、以下の内容が身につきます：

• Pythonのinput()関数の基本的な使い方
• 文字列入力と数値変換の方法
• 複数の値を受け取る方法
• 入力時のエラー処理（try-except）
• 高度な入力処理（ファイル入力、コマンドライン引数、パスワード入力）

Pythonのユーザー入力の仕組みをしっかりと理解し、実践的なプログラムを作成できるようになりましょう！

2. Pythonのinput()関数の基本的な使い方【初心者向け】

Pythonでユーザーから入力を受け取る方法として、最も基本的な関数がinput()です。この関数を使うことで、プログラム実行中にユーザーが入力したデータを取得し、変数に格納することができます。

このセクションでは、input()関数の基本的な動作と、文字列および数値を扱う方法について解説します。

2.1 input()関数の基本的な使い方

input()関数を使うと、コンソール（ターミナル）上でユーザーにメッセージを表示し、入力を受け取ることができます。以下が最もシンプルなinput()の使用例です。

name = input("あなたの名前を入力してください: ")
print(f"こんにちは、{name}さん！")

実行結果の例

あなたの名前を入力してください: 太郎
こんにちは、太郎さん！

動作の仕組み

1. input("あなたの名前を入力してください: ") が実行されると、ユーザーが入力するまでプログラムが一時停止します。
2. ユーザーが入力し、Enterキーを押すと、その値が文字列（str型）として変数nameに格納されます。
3. print()関数を使って、入力内容を画面に表示できます。

2.2 input()で数値を受け取る方法（型変換）

input()関数で取得したデータは、常に文字列（str型）になります。たとえば、数値を入力しても、そのままでは文字列として扱われます。

例：数値をそのまま入力してみる

age = input("年齢を入力してください: ")
print(type(age))  # str（文字列）型になる

実行結果

年齢を入力してください: 25
<class 'str'>

上記の例では、input()によって取得したageは “25”（str型の文字列） となっており、数値ではありません。

数値として扱いたい場合は、型変換を行う必要があります。

整数（int型）への変換

整数として入力を受け取る場合、int()関数を使用します。

age = int(input("年齢を入力してください: "))
print(f"あなたは{age}歳です。")

実行結果

年齢を入力してください: 25
あなたは25歳です。

int()を使うことで、ユーザーの入力値が整数型（int）として扱われます。

小数（float型）への変換

小数を入力する場合は、float()関数を使います。

height = float(input("身長を入力してください（cm）: "))
print(f"あなたの身長は{height}cmです。")

実行結果

身長を入力してください（cm）: 170.5
あなたの身長は170.5cmです。

float()を使用すると、小数点を含む数値を適切に処理できます。

2.3 input()の注意点とエラーの発生

int()やfloat()を使って型変換する際、ユーザーが数値以外のデータを入力するとエラーが発生します。

エラーが発生する例

age = int(input("年齢を入力してください: "))

年齢を入力してください: abc
Traceback (most recent call last):
  File "<stdin>", line 1, in <module>
ValueError: invalid literal for int() with base 10: 'abc'

ValueError というエラーが発生し、プログラムがクラッシュしてしまいます。
この問題を防ぐためには、エラーハンドリング（例外処理）を実装する必要があります。エラーハンドリングについては後のセクションで詳しく解説します。

2.4 まとめ

• input()関数は、ユーザーからの入力を取得するための基本的な関数。
• input()で取得したデータは、常に文字列（str型）として扱われる。
• 数値を入力させる場合は、int()やfloat()を使って型変換を行う。
• int()やfloat()を使う際は、誤入力に注意し、エラーハンドリングを実装するのが望ましい。

3. Pythonで複数の入力を受け取る方法【split/ループ活用】

Pythonでは、1回の入力で複数の値を受け取ることが可能です。特に、リスト形式でデータを取得したり、繰り返し入力を受け取る際に便利な方法があります。本セクションでは、split()を使った方法と、ループを利用した複数行入力の方法について解説します。

3.1 split() を使って1行で複数の値を入力する方法

通常、input() でユーザーからの入力を受け取ると、それは1つの文字列として扱われます。しかし、split() を利用すると、スペース区切りで複数の値を取得し、リストとして処理することが可能になります。

基本的な使用例

values = input("スペースで区切って複数の値を入力してください: ").split()
print("入力された値:", values)

実行例

スペースで区切って複数の値を入力してください: 10 20 30 40
入力された値: ['10', '20', '30', '40']

動作の仕組み

1. input() によって、ユーザーが入力した文字列を取得。
2. .split() を使うことで、スペース（デフォルト）で区切ってリストに変換。
3. その結果、リストとして値が格納される。

この方法を使えば、ユーザーから可変長のデータを受け取ることができます。

3.2 split() と型変換を組み合わせる

前述の方法では、入力された値はすべて文字列（str型）になっています。数値として処理したい場合は、リスト内の各要素を適切な型に変換する必要があります。

例：数値として処理

numbers = list(map(int, input("スペースで区切って整数を入力してください: ").split()))
print("整数の合計:", sum(numbers))

実行例

スペースで区切って整数を入力してください: 5 10 15 20
整数の合計: 50

解説

• input().split() でリスト化した後、map(int, ...) を使って各要素を整数（int型）に変換。
• list() で map の結果をリスト化。
• sum() 関数を使って合計を計算。

この方法は、複数の数値を一括で処理する場合に非常に便利です。

3.3 whileループを使って複数行の入力を受け取る

split() を使う方法では、1行の入力のみを処理します。しかし、ユーザーに複数行のデータを入力させたい場合、whileループを使用すると柔軟に対応できます。

複数行の入力を受け取る方法

lines = []
print("データを入力してください（終了するには空行を入力）:")

while True:
    line = input()
    if line == "":  # 空行が入力されたら終了
        break
    lines.append(line)

print("入力されたデータ:", lines)

実行例

データを入力してください（終了するには空行を入力）:
りんご
バナナ
オレンジ

入力されたデータ: ['りんご', 'バナナ', 'オレンジ']

解説

1. while True を使い、無限ループを作成。
2. ユーザーが input() で値を入力。
3. 空行（""）が入力されると break してループ終了。
4. すべての入力を lines リストに格納。

この方法を使えば、ユーザーが自由な数のデータを入力できるようになります。

3.4 forループを使って決まった回数だけ入力を受け取る

特定の回数だけ入力を受け取る場合は、for ループを使うのが便利です。

例：3回の入力を受け取る

data = []
for i in range(3):
    value = input(f"{i+1}回目の入力: ")
    data.append(value)

print("入力されたデータ:", data)

実行例

1回目の入力: Python
2回目の入力: Java
3回目の入力: C++
入力されたデータ: ['Python', 'Java', 'C++']

ポイント

• for ループを使うことで、入力回数を明確に指定できる。
• f"{i+1}回目の入力" のように、入力回数を表示すると、ユーザーがわかりやすい。

3.5 まとめ

4. 入力時のエラーハンドリング【try-exceptの活用】

Pythonでユーザーからの入力を受け取る際、想定しない値が入力されることがあります。例えば、数値を求めているのに文字列が入力された場合、プログラムがエラーを起こして停止してしまいます。これを防ぐために、try-except を使ったエラーハンドリングを実装することが重要です。

このセクションでは、try-except の基本的な使い方と、実用的なエラーハンドリングの方法について解説します。

4.1 try-except の基本的な使い方

Pythonでは、try-except を使うことで、エラー（例外）が発生したときにプログラムを適切に処理することができます。

基本的な例

try:
    num = int(input("整数を入力してください: "))
    print(f"入力された整数: {num}")
except ValueError:
    print("エラー: 整数を入力してください！")

実行例

整数を入力してください: 10
入力された整数: 10

整数を入力してください: abc
エラー: 整数を入力してください！

動作の仕組み

1. try: ブロック内で input() で入力を受け取り、int() に変換。
2. 数値が入力されれば正常に処理を続行。
3. もし文字列などの変換できない値が入力された場合、ValueError が発生し、except ValueError: の処理が実行される。

これにより、エラーが発生してもプログラムがクラッシュすることなく、適切なメッセージを表示できるようになります。

4.2 while ループを使って正しい入力を求め続ける

上記の方法では、エラーが発生するとエラーメッセージを表示するだけですが、正しい値が入力されるまで繰り返し求める方法 もよく使われます。

例：ユーザーが整数を入力するまで繰り返す

while True:
    try:
        num = int(input("整数を入力してください: "))
        break  # 正しく入力されたらループを抜ける
    except ValueError:
        print("エラー: 整数を入力してください！")

print(f"入力された整数: {num}")

実行例

整数を入力してください: abc
エラー: 整数を入力してください！
整数を入力してください: 12
入力された整数: 12

ポイント

• while True: を使うことで無限ループを作成。
• try-except を使って、エラーが発生した場合は再度入力を求める。
• 正しく入力された場合に break でループを抜ける。

この方法を使えば、ユーザーが必ず正しい形式で入力するまでプログラムが動作し続けます。

4.3 try-except を使った複数の入力処理

複数の値を受け取る場合も、try-except を使うことで安全に処理できます。

例：スペース区切りで複数の整数を入力

while True:
    try:
        numbers = list(map(int, input("スペースで区切って整数を入力してください: ").split()))
        break  # 正しく入力されたらループを抜ける
    except ValueError:
        print("エラー: 整数のみを入力してください！")

print(f"入力された整数リスト: {numbers}")

実行例

スペースで区切って整数を入力してください: 10 20 30
入力された整数リスト: [10, 20, 30]

スペースで区切って整数を入力してください: 10 abc 30
エラー: 整数のみを入力してください！

解説

• map(int, input().split()) を使って複数の整数を取得。
• try-except を使い、入力が数値以外の場合は再入力を求める。

4.4 finally を活用して後処理を行う

try-except には、エラーの有無に関わらず最後に実行される finally ブロックがあります。

例：リソースの解放処理

try:
    num = int(input("整数を入力してください: "))
    print(f"入力された整数: {num}")
except ValueError:
    print("エラー: 整数を入力してください！")
finally:
    print("処理を終了します。")

実行結果

整数を入力してください: abc
エラー: 整数を入力してください！
処理を終了します。

finally: ブロックを使うことで、例外の有無に関わらず最後に処理を実行できるため、リソースの後処理などに利用されます。

4.5 まとめ

5. 応用編: 高度な入力処理

Pythonでは、標準のinput()関数だけでなく、さまざまな方法でユーザーからの入力を受け取ることができます。特に、ファイルからの入力、コマンドライン引数の取得、パスワード入力の非表示化 などは、実用的なプログラムを作成する際に役立ちます。

このセクションでは、sys.stdin.read()、argparse、getpass を使った高度な入力処理を解説します。

5.1 ファイルからの入力【sys.stdin.read()】

Pythonでは、input() の代わりに ファイルの内容を標準入力（stdin）として読み込む ことが可能です。これにより、ファイルの内容をプログラムに渡して処理できます。

ファイルからの入力を取得する方法

import sys

data = sys.stdin.read()  # 標準入力をすべて読み込む
print("入力されたデータ:")
print(data)

実行方法（Linux/macOSのターミナル）

$ python script.py < sample.txt

このように < ファイル名 を指定することで、sample.txt の内容が sys.stdin.read() で読み取られます。

用途

• 大量のデータを処理するプログラム（ログ解析、データ変換）
• ファイルをパイプで渡すスクリプト

5.2 コマンドライン引数を受け取る【argparse】

コマンドライン引数を使うと、スクリプト実行時に外部から値を渡すことができます。これは、スクリプトの動作を柔軟に変えたいときに便利です。

argparse を使った基本的な例

import argparse

parser = argparse.ArgumentParser(description="ユーザーの名前を取得するスクリプト")
parser.add_argument("name", help="あなたの名前を入力してください")
args = parser.parse_args()

print(f"こんにちは、{args.name}さん！")

実行方法

$ python script.py Taro
こんにちは、Taroさん！

複数の引数を受け取る

parser.add_argument("age", type=int, help="年齢を入力してください")
args = parser.parse_args()

print(f"{args.name}さんは{args.age}歳です。")

実行方法

$ python script.py Taro 25
Taroさんは25歳です。

用途

• コマンドラインツールの作成
• スクリプトの設定値を外部から指定

5.3 パスワード入力を非表示にする【getpass】

通常、input() でパスワードを入力すると、ターミナルにそのまま表示されてしまいます。これを防ぐには、getpass モジュールを使います。

getpass を使った安全なパスワード入力

import getpass

password = getpass.getpass("パスワードを入力してください: ")
print("パスワードが入力されました")

実行結果（入力時にパスワードが見えない）

パスワードを入力してください:
パスワードが入力されました

用途

• セキュリティを重視したスクリプト
• 認証が必要なプログラム

5.4 まとめ

6. Python 2との互換性（補足情報）

Python 3 では input() 関数を使用してユーザーの入力を取得しますが、Python 2 では input() と raw_input() という2つの関数が存在しました。Python 2 を使用する環境では、入力の処理方法が異なるため、古いコードを扱う際には注意が必要です。

このセクションでは、Python 2 と Python 3 の input() の違いについて解説します。

6.1 Python 2 の input() と raw_input()

Python 2 では、input() と raw_input() という2つの異なる入力関数がありました。

Python 2 では raw_input() が input() に相当し、Python 3 では input() の動作が raw_input() に統合されました。

6.2 Python 2 の input() の危険性

Python 2 の input() は、ユーザーの入力をPythonのコードとして評価する という危険な仕様になっています。
例えば、以下のコードを考えてみましょう。

# Python 2 の場合
value = input("何か入力してください: ")
print(value)

このコードを実行すると、ユーザーが 5 + 5 と入力した場合、自動的に計算されて 10 が出力されます。

何か入力してください: 5 + 5
10

これは、任意のコードを実行できる というセキュリティ上のリスクを伴います。
例えば、ユーザーが __import__('os').system('rm -rf /') のような危険なコマンドを入力した場合、システムにダメージを与える可能性があります。

安全な代替策

Python 2 を使用する場合は、raw_input() を使うことで、ユーザーの入力を文字列として扱うことができます。

# Python 2 の安全な方法
value = raw_input("何か入力してください: ")
print(value)

Python 3 では input() が安全な仕様になっているため、この問題は発生しません。

6.3 Python 3 で Python 2 のコードを実行する方法

Python 2 で書かれたコードを Python 3 で動作させる場合、raw_input() を input() に変更する必要があります。
しかし、手動で修正するのが難しい場合、2to3 というツールを使うことで自動変換が可能です。

2to3 を使用したコードの変換

Python 3 には 2to3 というツールが用意されており、Python 2 のコードを Python 3 に変換できます。

$ 2to3 old_script.py -w

これにより、raw_input() は input() に自動的に置き換えられます。

6.4 まとめ

• Python 2 の input() は 危険 なので、使用しないようにする。
• raw_input() は Python 3 では input() に統合された。
• 古い Python 2 のコードを変換するには 2to3 ツールを使用する。

7. まとめ

本記事では、Pythonでユーザーからの入力を受け取る方法について、基本から応用まで詳しく解説しました。初心者向けの input() 関数の使い方から、エラーハンドリング、高度な入力処理まで、幅広いトピックをカバーしました。

7.1 記事のポイントまとめ

7.2 Python のユーザー入力処理のベストプラクティス

1. 基本の input() を使う

• input() を使えば、簡単に文字列の入力が可能。
• 数値を受け取るときは int() や float() で型変換を行う。

1. エラーハンドリングを適用する

• try-except を活用し、ユーザーの入力ミスによるプログラムの異常終了を防ぐ。
• 数値入力の際には int() や float() を適切に扱う。

1. 複数の入力を処理する

• split() を使って、一度に複数の値をリストとして取得。
• while ループを使い、任意の行数の入力を受け取る。

1. 高度な入力方法を活用する

• ファイル入力：sys.stdin.read() でファイルを読み込む。
• コマンドライン引数：argparse を使って、外部から変数を渡す。
• パスワード入力：getpass を使用して、セキュリティを確保する。

1. Python 2 との互換性を考慮する

• Python 2 では raw_input() を使用し、input() の使用は避ける。
• Python 3 に移行する際には、2to3 を活用してコードを変換する。

7.3 これからのステップ

Pythonの input() を活用することで、よりインタラクティブなプログラムを作成できます。本記事で紹介した内容を活用し、実際に自分のプログラムに組み込んでみましょう。

もし、さらに高度な入力処理を学びたい場合は、以下のトピックを学ぶのもおすすめです。

• GUIを使った入力処理（tkinter や PyQt など）
• データベース入力の処理（sqlite3 や MySQL との連携）
• Webフォームからのデータ入力（Flask や Django のフォーム）

Pythonのユーザー入力を自由自在に扱えるようになれば、Webアプリケーションやデータ処理ツールなど、より高度なプログラムの開発にも応用できます。

本記事を参考に、Python での入力処理をスムーズにマスターしましょう！ 🚀